働きながら障害年金はもらえる?発達障害(ASD・ADHD)の就労実態を証明
「発達障害(ASD・ADHD)の診断を受けたが、生活のために仕事を続けざるを得ない」
「職場でミスを連発し、同僚や上司の強いサポートで辛うじて就労を維持している」
当事務所には、このような切実なご相談が多く寄せられます。「仕事を続けていると、障害年金の審査で不利になるのでは」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、公的な「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」においては、労働に従事していることのみをもって不支給とされるわけではなく、職場において受けている援助や配慮の内容、日常生活の制限状況を総合的に考慮して判断すると明記されています。
この記事では、就労を継続しながら障害年金の受給に至った方々の「3つの共通点」を整理し、審査で重視される「上司や同僚のサポート状況を客観的な書類にする手法」を分かりやすく解説します。
就労しながら受給できた3つの共通点
就労を継続しながら障害年金の受給が決定した事例を分析すると、以下の3つの共通点が見られます。
- 職場で受けている「特別な配慮」が客観的に数値化・言語化されていること
「業務の単純化」「電話対応や接客の全面免除」「指示系統の一本化」など、周囲の援助があるからこそ勤務が成り立っている実態を具体的に証明しています。
- 就労と日常生活の困難さが、主治医の診断書に反映されていること
短い診察時間内では把握しきれない「就業中のミス」「帰宅後の極度の疲弊」を文書で伝え、診断書の「裏面・労働能力」欄等に的確に記載してもらっています。
- 「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」の整合性が保たれていること
医師が作成した診断書と、申請者が作成する申立書の内容に食い違いがなく、審査機関に誤解を与えない一貫した書類構成になっています。
相談事例:一般就労を続けながら受給決定に至ったAさんのケース
相談者のプロフィール
年齢・性別: 30代前半・男性
傷病名: 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)
就労状況: 一般企業の事務職(正社員・フルタイム勤務)
年金種別: 障害厚生年金(初診日に厚生年金保険に加入)
大学卒業後に就職したAさんは、マルチタスクや口頭指示の理解が困難で、重大な入力ミスやスケジュールの失念を頻繁に繰り返していました。注意を受けると強いパニック状態に陥るようになり、30歳で心療内科を受診。ASDおよびADHDの診断を受けました。休職・退職は経済的に困難であったため、会社に事情を打ち明けて配慮を受けつつ、当事務所へご相談に来られました。
直面した課題
- 「正社員フルタイム勤務」による不支給の懸念
Aさん自身も主治医も「フルタイム勤務を継続できている以上、障害年金の等級には該当しないのではないか」という懸念を抱いていました。
- 職場の支援内容が主治医に伝わっていない
月1回の通院時は「体調はどうですか」「変わりありません」といった形式的なやりとりのみで、会社が講じている業務調整の内容を主治医が把握していませんでした。
弊所によるサポート内容:職場のサポート状況の可視化
Aさんが受けている「周囲の手厚い援助」を審査機関および主治医へ明確に伝えるため、以下の項目を整理した「就労状況確認書」を作成しました。
業務範囲の限定: 通常の事務職員が行う電話対応、来客対応、突発的な庶務業務を全免除。単一の定型データ入力業務のみに限定。
指示・指導体制の配慮: 口頭による指示を禁止し、すべて社内チャットツールを用いたテキスト指示に限定。優先順位は上司が番号順に指定。
同僚による確認頻度(数値化): 専任の指導担当者を1名配置し、入力ミスを防ぐためのダブルチェックを1日3回(作業開始時・中間・完了時)実施。指導担当者の業務時間の約20%がAさんのフォローに充当されている状態を明記。
勤務時間・休憩の配慮: 感覚過敏や疲労によるパニックが生じた際、事前申請なしで利用できる静養室の利用を許可(週1〜2回、各30分程度)。
帰宅後の日常生活実態: 職場での極度の緊張の反動により、帰宅後は疲労困憊で食事や入浴を自力で行えず、同居家族が全面的に援助している事実を記録。
この資料を主治医へ提出したことで、医師も「手厚い職場環境と家庭の援助があるからこそ辛うじて就労が継続できている状態」であることを把握してくださりました。
まとめ
大人の発達障害(ASD・ADHD)を抱えながら働いている方でも、職場での配慮や周囲の支援実態を客観的に証明できれば、障害年金の受給は十分に可能です。「働いているから無理だ」と判断せず、「どのようなサポートがあるからこそ働けているのか」を公的基準に沿って書類に落とし込むことが重要です。
当事務所では、ご本人のこれまでの就労状況や生活の苦労を丁寧にヒアリングし、実態に即した書類作成を支援いたします。ひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。
※本事例は、個人情報保護の観点から、趣旨や手続きの本質を損なわない範囲で一部の事実関係および個人属性に変更を加えて記載しております。
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