「腰痛」と診断され初診日が不明?強直性脊椎炎で障害年金申請に挑んだ事例
朝起きると腰や背中が激しくこわばり、体を動かすのも一苦労。振り返る動作や靴下を履く動作がつらく、日常生活や仕事に深刻な支障が出ているにもかかわらず、周囲に見た目では伝わりにくいのが「強直性脊椎炎」の大きな苦しみです。
「難病で治療を続けているけれど、障害年金をもらえるのだろうか」 「最初の受診から確定診断まで何年もかかっており、初診日の病院にカルテが残っていない」
このようなご不安を抱えてはいませんか。 強直性脊椎炎は、初期段階で「腰痛症」「坐骨神経痛」などと診断されることが多く、初診日の特定やカルテの保存期間(5年間)の経過による証明の難航、さらには可動域制限や痛みの実態を診断書へ反映させる難しさなど、申請において特有のハードルが存在します。
この記事では、当事務所がサポートを行い、受給決定に至った会社員Aさん(30代・男性・仮名)の事例をもとに、直面した課題とその解決策を詳しく解説します。申請のポイントを把握し、一歩を踏み出すための判断材料としてお役立てください。
事例の詳細解説
相談者Aさんの基本状況と病状の経緯
氏名・年齢:Aさん(30代後半・男性・仮名)
病名:強直性脊椎炎
就労状況:IT関連企業(デスクワーク中心、時差出勤・短時間勤務の配慮あり)
受給決定等級:障害厚生年金3級
Aさんは20代半ばのころ、朝起き上がれないほどの腰や臀部の痛みに見舞われ、近隣の整形外科クリニックを受診しました。当時は「過労による腰痛症」と診断され、湿布と鎮痛薬の処方で様子を見ていました。
その後、複数の整形外科や整骨院を転々としましたが根本的な改善は見られず、初診から約7年後、総合病院のリウマチ・膠原病内科を受診して初めて「強直性脊椎炎」と確定診断されました。現在は生物学的製剤による治療を継続しているものの、脊柱のこわばりと強い痛みが続き、首を左右に回せない、腰をかがめて靴下を履くことができないなど、日常生活や就労に重大な制約を受けていました。
申請にあたり直面した3つの課題
課題1:初診日の証明書(受診状況等証明書)が取得できない
最初に受診した整形外科クリニックに確認したところ、受診からすでに10年以上が経過しており、カルテの保存義務期間(5年間)を経過していたため、診療録が廃棄されていました。
課題2:診断書に日常生活動作の不自由さが十分に反映されない懸念
現在通院している主治医は内科的治療(生物学的製剤の処方等)を主として行っており、定期受診の短い診察時間内では、Aさんが普段どれほど体を曲げられず、日常の動作に苦労しているかという実態(ズボンの着脱、前屈姿勢の維持困難など)を詳細には把握していませんでした。
課題3:就労していることによる不支給への不安
体調に合わせて時差出勤や業務量の軽減といった職場の配慮を受けながら勤務を継続していたため、「一般就労していると、日常生活に支障がないと判断されて不支給になるのではないか」という強い不安を抱えていました。
弊所による具体的なサポートと課題の解決策
解決策1:客観的記録の積み重ねによる初診日の立証
初診クリニックでのカルテ原本は存在しなかったものの、Aさんの自宅に保管されていた当時の領収書、お薬手帳、クリニックの診察券を確認しました。さらに、2番目に受診した病院のカルテに「10年前に〇〇整形外科を受診」という紹介元・既往歴の正確な記載が残されていたため、これらの証拠を体系的にまとめ、「受診状況等証明書が添付できない申立書」とともに提出することで、初診日を特定・立証しました。
解決策2:主治医への情報提供シートの作成
国民年金・厚生年金保険の障害認定基準における「体幹・脊柱の機能の障害」および「肢体の障害」の基準に基づき、Aさんの日常生活における具体的な支障(脊柱の可動域制限、靴下の着脱や爪切りが困難であること、床の物を拾う際に膝から崩れるようにしゃがむ必要があることなど)を細かく聞き取りました。これを医師向けの参考情報資料として書面化し、Aさんを通じて主治医にお渡ししました。 主治医はその内容を診察で確認したうえで、測定に基づいた脊柱の可動域数値および日常生活動作の障害度を診断書に正しく反映してくださいました。
解決策3:配慮事項を網羅した「病歴・就労状況等申立書」の作成
就労を理由に日常生活能力を過大評価されないよう、職場から受けている具体的な援助内容(重い物の運搬免除、長時間の同一姿勢を避けるための定期的な離席許可、フレックスタイム制の利用実績など)を詳細に記載しました。また、発病から現在までの受診経過と症状の推移を時系列で整理し、診断書の記載内容と矛盾のない精緻な申立書を完成させました。
裁定請求から受給決定までの流れ
申請から約3か月半後、日本年金機構より年金証書が届き、障害厚生年金3級の支給決定となりました。Aさんからは「日々の痛みと将来の経済的不安に押しつぶされそうでしたが、支給が決まったことで治療の選択肢を広げ、安心して働き続けることができます」との声をいただきました。
まとめ
強直性脊椎炎は、外見からはその激しい痛みや可動域の制限が理解されにくく、患者様が孤立しやすい疾患です。障害年金は、そうした方々が治療を続けながら安定した生活を送るために法律で認められた公的な権利です。
「初診日の病院がなくなってしまった」「今の症状で該当するかわからない」とお悩みの場合でも、カルテ以外の資料から初診日を特定したり、日常生活の工夫を正しく伝えることで道が開けることがあります。一人で抱え込まず、まずは一度弊所までご相談ください。丁寧にお話を伺い、最善の受給方法をご提案いたします。
※本事例は、個人情報保護の観点から、趣旨や手続きの本質を損なわない範囲で一部の事実関係および個人属性に変更を加えて記載しております。
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