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精神疾患の障害年金申請で直面する3つの苦労

「精神疾患を抱え、日々の生活を維持するだけで精一杯なのに、障害年金の手続きなんて本当にできるのだろうか……」 このように不安や孤独感を抱えていませんか。

本記事では、当事務所にご相談いただき、紆余曲折を経て障害厚生年金2級の受給に至った「Aさん」の事例をご紹介します。一般的な解説書には書かれていない、申請プロセスにおける「本当の大苦労」にスポットを当て、それをどのようにして乗り越えたのかを詳しくお伝えします。

Aさんが直面した「障害年金申請における3つの大苦労」

苦労その1:最初の医療機関が「廃院」。証明の糸口が完全に途絶えた絶望

障害年金の手続きにおいて、最も重要でありながら最も躓きやすいのが「初診日(初めてその病気で医師の診察を受けた日)」の特定と証明です。

Aさんが最初に受診した「Aメンタルクリニック」は、今から10年前でした。しかし、いざ証明書(受診状況等証明書)を依頼しようと調べてみると、数年前にクリニック自体が廃院していることが発覚したのです。法律上のカルテ保存期間(5年間)もとうに過ぎており、当時の記録はどこにも残っていません。

「最初の病院の証明がなければ、もう申請すら受け付けてもらえないのではないか」 この事実を知ったとき、Aさんとご家族は目の前が真っ暗になるほどの絶望感を味わいました。原則初診日が証明できなければ、どれだけ現在の症状が重くても、スタートラインに立つことさえできないのが障害年金の厳しいルールだからです。

苦労その2:過去のつらい記憶をたどる作業が、病状を急激に悪化させた

障害年金の申請には、発症から現在までの通院歴、就労状況、日常生活の困りごとを時系列でまとめる「病歴・就労状況等申立書」の作成が必須となります。

しかし、Aさんにとって、過去の休職期間のこと、退職に追い込まれたときの人間の歪み、体調を崩して寝込んでいた時期の記憶を思い出す作業は、精神的に耐え難い苦痛を伴うものでした。 白紙の書類を前にして過去を振り返ろうとするだけで、激しい動悸やパニック発作、強い自責の念に襲われ、数日間にわたって起き上がれなくなるほど病状が悪化してしまったのです。

ご家族も「当時の細かい日付や状況を無理に聞き出そうとすることが、Aさんをさらに追い詰めてしまう」というジレンマに陥り、書類作成の手が完全に止まってしまいました。

苦労その3:主治医への伝達不足。実態と乖離した「診断書」の壁

何とか次のステップに進み、現在通院している主治医に障害年金用の診断書の作成を依頼しました。しかし、数週間後に出来上がってきた診断書の内容を見て、ご家族は言葉を失いました。

そこには、実際の過酷な日常生活とはかけ離れた、比較的軽快しているかのような内容が記載されていたのです。 原因は、診察室でのコミュニケーションにありました。Aさんは主治医の前では無理をして背筋を伸ばし、質問に対して「なんとかやっています」「大丈夫です」と答えてしまう傾向がありました。医師も、月に1回、わずか数分間の診察室での様子しか見ていないため、Aさんが「自宅ではお風呂に入れない日が続いていること」や「薬の飲み忘れを家族が毎日管理していること」を全く把握していなかったのです。

どのようにして苦労を乗り越え、受給決定にたどり着いたのか

客観的証拠の徹底的な探索(初診日を見つける)

廃院したクリニックの証明書が出ない代わりに、Aさんのご自宅にある手がかりとなるものを徹底的に捜索しました。その結果、以下の資料を発見することができました。

当時の診察券(受診日のスタンプが残っていたもの)

10年前の「お薬手帳」(クリニック名と当時の日付、抗うつ薬の処方記録あり)

当時の勤務先から発行された医療費通知のコピー

これらは単体では初診日証明になりませんが、複数を組み合わせることで「この時期に間違いなく精神疾患で受診していた」という強力な間接証拠になります。

ヒアリングをご家族主体へシフト(精神的負担の軽減)

Aさん自身のメンタルを守るため、過去のタイムラインの構築は同居するご家族からの聞き取りをメインに進めました。Aさんへの直接の確認は、体調が比較的安定している時間帯を見計らい、5分程度の短いやり取りや「はい」「いいえ」で答えられる質問に限定しました。

「日常生活の評価」をまとめた書面の作成と医療連携

主治医とのズレを解消するため、診察室では見えない「自宅でのリアルな日常生活の制限」を項目別にまとめた書面を作成しました。

「食事は家族が用意しなければ手をつけず、残してしまうことが多い」

「入浴は声をかけないと1週間以上入らないことがある」

「金銭管理ができず、衝動的な支出や公共料金の未払いが発生している」

これらを具体的かつ客観的な事実としてまとめ、次回の診察時に主治医へ手渡しました。

まとめ

書類を揃え、年金事務所へ提出。数ヶ月に及ぶ審査を経て、Aさんには無事に「障害厚生年金2級」の支給決定通知書が届きました。経済的な安定を得たことで、Aさんは焦ることなく療養に専念できるようになり、ご家族の精神的な重圧も大きく軽減されました。

精神疾患の障害年金申請は、教科書通りに進むケースばかりではありません。 初診日の壁、過去を振り返る苦痛、医師とのコミュニケーションの難しさなど、当事者やそのご家族だけで抱え込むにはあまりにも重い負担が伴います。

だからこそ、手続きの途中で道が閉ざされたように感じても、諦める必要はありません。適切な証拠の集め方や、負担を減らす進め方を知る専門家を頼ることで、困難な状況からでも道を開くことは十分に可能です。

当事務所では数多くのケースを経験しておりますので、お気軽にお問合せください。

豊島区、練馬区、板橋区、中野区、杉並区、北区、新宿区、東京23区、埼玉県、神奈川県で社会保険労務士をお探しの皆さま、障害年金申請、審査請求、再審査請求のことなら、城田社会保険労務士事務所にご相談ください。

著者 特定社会保険労務士
城田 めぐみ
城田社会保険労務士事務所
東京都豊島区

当事務所は、障害年金の申請支援を専門に取り組んでいる社会保険労務士事務所です。様々な傷病による障害年金の手続きは複雑で、多くの方が途中で諦めてしまうこともあります。当事務所では、初回相談から診断書の準備、申請書類の作成、年金事務所とのやりとりまで、受給に向けて丁寧にサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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