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人工関節で労災と障害年金受給

通勤途中の事故をきっかけに労災保険の適用を受け、あわせて障害厚生年金のお手続きも進められたお客様の事例をご紹介します。

小雨が降る肌寒い朝、いつものように最寄り駅へ向かって自転車を走らせていたときのことでした。見通しの悪い路地の曲がり角で、突然目の前に現れた歩行者を避けようと反射的に急ブレーキをかけた瞬間、濡れたマンホールの蓋でタイヤがスリップし、自転車ごと激しく横倒しに転倒してしまいました。

病院での検査の結果は、大腿骨頸部骨折。骨折の部位や折れ方から、骨への血流が途絶えて骨頭が壊死してしまうリスクが非常に高いため、折れた骨をつなぐのではなく、関節部分を金属などの人工物に置き換える人工骨頭置換術が選択されました。

「いつもと同じ時間に家を出て、いつもと同じ通勤路を通っていただけなのに……」 ほんの数秒前まで当たり前に歩き、いつもの日常を過ごしていたはずが、予期せぬアクシデントによって一瞬にして大きく生活が変わってしまう。誰の身にも起こり得る通勤災害の身近さと、突然の大きな試練に直面されたご本人の戸惑いが胸に迫るような事例でした。

労災と障害年金

それまでお体に何の不調もなかった方であっても、思いがけない事故によって、ある日突然障害を抱えてしまうことがあります。「誰にでも起こり得ること」と頭では分かっていても、元気に過ごせているうちは、どうしても自分ごととして想像するのは難しいものですよね。

労災の休業(補償)給付などと障害厚生年金の間には受給額の調整ルールがありますが、健康保険の傷病手当金のように「どちらか一方の高い金額に合わせて調整される」という仕組みではありません。障害厚生年金は全額がしっかりと支給されたうえで、労災側が一定の割合で減額調整されて支給されます。つまり、労災と障害厚生年金は両方を一緒に受け取ることができますので、請求できるタイミングを迎えたら速やかにお手続きを進めていただくのがおすすめです。

今回のお客様のように、事故後すぐに人工骨頭の置換手術を受けられた場合は、手術を受けたその日が特例として「障害認定日」となります。そのため、原則である「初診日から1年6か月」の経過を待つことなく、すぐに障害厚生年金を請求できる状態になります。

まとめ

関節に人工骨頭をそう入・置換された場合、障害年金の認定基準では原則として「障害厚生年金3級」に該当します。

このように、事故から間もないタイミングであっても、受けられた治療の内容によっては早期の年金請求につながるケースがございます。「まだ治療中だから」と後回しにせず、利用できる公的なサポートを適切な時期にしっかりと受け取っていただければ幸いです。

※本事例は個人情報保護の観点から、ご相談者様が特定されないよう、趣旨を損なわない範囲で事故の状況など細部の設定を一部変更してご紹介しております。

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著者 特定社会保険労務士
城田 めぐみ
城田社会保険労務士事務所
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