ポリオ(小児麻痺)で65歳直前に障害年金がもらえた
「幼い頃にポリオ(小児麻痺)にかかり後遺症があるけれど、これまで障害年金を一度も請求せずに65歳近くになってしまった」
「もうすぐ老齢年金がもらえる年齢になるけれど、今からでも障害年金を申請する価値はあるのだろうか」
このような疑問や不安をお持ちではありませんか。障害年金は原則として65歳までに請求手続きを行う必要がありますが、老齢年金との兼ね合いや、数十年前に遡る初診日の特定など、個人で解決するには複雑なハードルが存在します。
本記事では、幼少期にポリオ(小児麻痺)を罹患し、現在65歳到達間近で在宅ワークを継続されているAさんの事例をご紹介します。老齢基礎年金と障害基礎年金の年金額を客観的な数値で比較し、50年以上前の初診日をどのように証明したのか、具体的なプロセスを解説します。この記事を読むことで、ご自身の状況に応じた年金選択の考え方と、古い初診日に対する具体的な対処法が理解できます。
事例の詳細解説
ご相談者: Aさん(仮名・65歳到達間近)
病名: ポリオ(小児麻痺)後遺症
就労状況: 在宅ワークによる業務を継続中
相談までの経緯: 出生直後にポリオに罹患し、下肢等に障害が残る状態(障害等級2級相当)で生活してきました。これまで障害年金の請求手続きを行った経験はなく、仕事を続けてきました。65歳の誕生日が近づき、区役所へ相談に赴いたところ、「間もなく老齢基礎年金の受給権が発生するため、障害基礎年金の申請を行うべきか分からない」状態となり、弊所へ訪問面談にお越しになりました。
直面した具体的な課題
課題1:老齢基礎年金と障害基礎年金の選択に関する判断
老齢基礎年金の受給権が発生する65歳間近の時期においては、障害基礎年金を新たに請求すべきかどうかの判断が困難となります。国民年金法上の「一人一年金」の原則により、65歳以降は「老齢基礎年金」と「障害基礎年金」を重複して受け取ることはできず、いずれか一方を選択する必要があります。
仮に、Aさんの老齢基礎年金の支給見込額が満額(令和7年度基準:年額816,000円)に近い金額である場合、50年以上前の初診日を証明する労力や手続きの負担を考慮すると、障害基礎年金の請求を見送る選択肢も考えられました。
解決策1:見込額の試算と課税・非課税の条件比較
弊所にてAさんの年金加入記録を確認し、老齢基礎年金の支給見込額を試算しました。その結果、Aさんの老齢基礎年金は未納期間や未加入期間の影響により、年間受給額が満額に届かず、障害基礎年金2級(令和7年度基準:年額816,000円)の支給額と比較して年額で数十万円(約30万円〜40万円)の差が生じることが判明しました。
さらに、以下の法的条件を比較・分析しました。
| 項目 | 老齢基礎年金 | 障害基礎年金(2級) |
| 年金額(令和7年度基準) | 加入実績に応じた額(Aさんは満額未満) | 年額816,000円(定額) |
| 課税区分 | 雑所得として課税対象 | 非課税 |
| 金額差 | 障害基礎年金より年間数十万円低い | 老齢基礎年金より年間数十万円高い |
試算の結果、実質的な手取り額においても障害基礎年金を受給するメリットが極めて大きいことが客観的な数値で確認できたため、障害基礎年金の請求手続きを進める方針を決定しました。
課題2:50年以上前の初診日の特定と証明
障害基礎年金を請求するためには、ポリオの初診日において国民年金等の被保険者(又は20歳未満の未加入期間)であったことを証明する必要があります。しかし、Aさんの初診日は50年以上前に遡るため、当時の医療機関に診療録(カルテ)は保管されておらず、受診状況等証明書を取得することが不可能な状態でした。初診日の「年月日(何年何月何日)」をピンポイントで特定することは困難を極めました。
解決策2:参考資料の収集による初診年月(時期)の限定
初診日の証明において、必ずしも「〇年〇月〇日」という日付まで特定する必要はありません。初診を受けた時期が一定の範囲に限定され、かつ、それが20歳未満の期間内(あるいは特定の加入期間内)であることが客観的資料により確認できれば、申請を通すことが可能です。
弊所では、以下の手順で補強資料の収集と精査を行いました。
1.客観的参考資料の収集:
・幼少期に交付された身体障害者手帳の取得時の記録・記載事項の確認
・過去に受診した別疾患の古い診療録における「既往歴(幼少期にポリオ罹患軒載)」
の抽出
・小学校・中学校時代の学籍簿や健康診断記録における身体状況の記載確認
2.初診年月等の申立書の作成:
収集した資料をもとに、ポリオの発症・初診が「20歳未満の特定の時期」であることを論理的に構成し、参考資料を添付した上で日本年金機構へ提出しました。
請求の結果、日付までの厳密な特定はできなかったものの、添付した参考資料によって初診時期が認定され、無事に障害基礎年金2級の受給権が発生しました。
社労士に依頼するメリット
複雑な年金シミュレーションの実施:
老齢年金と障害年金、どちらを選択するのが将来的に優位であるかを、税負担(課税・非課税)や手取り額の観点から明確な数値で分析・提示します。
古い初診日に対する立証スキームの構築:
カルテが存在しない数十年前に遡る初診日であっても、公的機関の記録や周辺資料から有効な証拠を抽出し、法的に筋の通った申立書を作成します。
就労中の障害年金申請における適切な実態整理:
在宅ワークや障害に配慮された就労環境にある場合、単に「働いている」という事実だけで不支給と判定されないよう、労働における制限や援助の内容を申立書へ正確に反映させます。
まとめ
65歳到達間近の時期や、50年以上前の初診日が関わる障害年金の申請は、年金選択の判断と証明資料の収集という2つの高いハードルが存在します。「もう65歳になるから」「昔のカルテがないから」とご自身だけで諦めてしまう前に、専門家へご相談いただくことが大切です。
当事務所では、老齢年金額との比較試算から、古い初診日の立証資料の探索、申立書の作成まで、ご相談者様の状況に応じた丁寧なサポートを行っております。初回のご相談は無料にて承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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