高次脳機能障害で障害厚生年金2級受給
「リハビリで歩けるようになったから、もう大丈夫だねと言われるけれど、実際は仕事が手につかない……」 「約束を忘れてしまったり、急に怒鳴ってしまったり。家族もどう接していいか戸惑っている」
脳出血や脳梗塞、あるいは交通事故などの後に生じる「高次脳機能障害」は、外見からは障害があることが分かりにくいことから「見えない障害」とも呼ばれます。身体の麻痺が回復した方ほど、周囲からは「治った」と誤解され、労働や日常生活での深刻な支障が見過ごされてしまう傾向にあります。
本記事では、当事務所が共に歩んだ「身体麻痺は軽微ながらも、高次脳機能障害によって生活が激変したAさんの事例」を詳しく解説します。この記事が、自分や家族の今の状況が年金の対象になるのかと悩む方への、具体的な道標となれば幸いです。
本記事のポイント
- 「身体の動き」ではなく「脳の働き」による制限が審査の対象。
- 医師の前で見せる「しっかりした姿」と、「家庭での実態」のギャップを埋める必要がある。
- 日常生活における具体的な失敗談や援助の内容を、客観的なデータとして提示する。
- 仕事中の方や、一度復職した方でも、職場の配慮があれば受給の可能性がある。
事例解説:高次脳機能障害による「生活の制限」の証明
a. 状況の詳細
- 相談者: Aさん(50代・男性)
- 傷病名: 脳出血による高次脳機能障害
- 状態: 右半身にわずかな痺れが残るものの、自力歩行が可能。しかし、新しいことが覚えられない「記憶障害」、物事の優先順位がつけられない「遂行機能障害」、些細なことで激昂する「社会的行動障害」が顕著。元の職場に復職したが、ミスを連発し、同僚とのトラブルも絶えず、半年で退職に至る。
b. 申請までの過程
Aさんは「足が動く自分は、年金の対象ではない」と頑なに考えていました。しかし、家計を支える奥様から「家の中でも火の不始末がある。以前の穏やかな夫とは別人のようで、家族が常に付き添わなければならない」という切実なご相談を受けました。主治医は脳神経外科の先生でしたが、診察室でのAさんは受け答えがしっかりしていたため、障害の重さが十分に認識されていないという課題がありました。
c. 直面した課題と課題解決に向けた取り組み
【課題1】診断書に「日常生活の困りごと」を反映させる
高次脳機能障害は、病院という特殊な環境下での短時間の診察では、その症状が表れにくい特徴があります。
- 弊所の対応: 奥様に「日常生活の異変ノート」を1ヶ月分記録していただきました。例えば「財布を忘れて買い物に行く」「同じ質問を5分おきに繰り返す」といった数値化・視覚化できる具体的なエピソードを抽出。これらを整理した資料を主治医に共有し、医学的な検査結果(高次脳機能検査等)と日常生活の実態がリンクした、精度の高い診断書を作成していただきました。
【課題2】「就労していた事実」への反論
Aさんは一度復職していたため、そのままでは「就労可能(障害ではない)」と判断される恐れがありました。
- 弊所の対応: Aさんが復職した際の勤務状況を詳細に調査しました。実際には「常に補助者が横についていた」「単純作業のみに変更されていた」という実態がありました。これらを**「就職しても継続が困難であった理由」**として病歴・就労状況等申立書に詳述し、現在の無職の状態が性格の問題ではなく、病気の後遺症によるものであることを論理的に主張しました。
d. 受給決定に至るまで
申請から約4ヶ月後、障害厚生年金2級の受給が決定しました。 身体的な麻痺による評価ではなく、精神の障害としての「社会適応能力の著しい低下」が認められた結果です。決定通知を受け取った際、奥様が「やっと夫の辛さが社会に認められた」と安心されていたのが印象的でした。
社労士に相談することの重要性
高次脳機能障害は、ご本人が自身の障害を認識できないケースもあり、ご家族だけで手続きを進めるには限界があります。
- 「家族の言葉」を「審査官の言葉」へ: 家族が感じる「大変さ」を、障害認定基準の評価軸に沿った「制限の事実」へと正確に翻訳します。
- 適切な診療科の選定アドバイス: 症状によっては、脳外科だけでなく、精神科やリハビリテーション科での受診が適切な場合があります。
- 遡及請求(過去分の請求)の検討: 初診日から1年6ヶ月経過した時点の状態を検証し、本来受け取れるはずだった過去の年金を請求できる可能性も探ります。
まとめ
高次脳機能障害は、ご本人もご家族も、出口の見えないトンネルにいるような不安を感じやすい傷病です。「以前とは違う」という違和感は、わがままや性格の変化ではなく、脳が発している助けを求めるサインかもしれません。
Aさんのように、たとえ身体が動いたとしても、社会生活を送るのが困難であれば、障害年金という支えを確保することができます。今の生活を立て直すため、まずは当事務所にお話を聞かせてください。私たちは、あなたの「見えない壁」を言葉にし、未来を支えるお手伝いをします。
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