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精神疾患からの社会的治癒が認められたケース――障害厚生年金2級受給事例

障害年金の制度の中でも、「社会的治癒」という考え方はあまり知られていません。しかし、実際の申請においては重要な判断要素となり、特に精神疾患では診断や通院の経過が複雑になることが少なくありません。今回は、50代女性の方が「5年間受診歴がなかった」という経過を経て、最終的に社会的治癒が認められ、障害厚生年金2級の受給に至った事例をご紹介します。

長年の症状と一時的な回復――5年間の空白期間

この女性は30代の頃にうつ病を発症し、数年間にわたり精神科への通院と服薬治療を続けていました。発症当初は強い抑うつ状態が続き、家事や仕事をこなすことも困難でした。しかし、医師の治療やご家族の支えもあり、40代に入った頃には症状が安定。通院も終了し、その後はおよそ5年間にわたり病院を受診せずに過ごしていました。この期間、社会生活に大きな制限はなく、家事やパート勤務なども行えていました。

このように一定期間、症状が落ち着き社会生活が送れている場合には「社会的治癒」とみなされる可能性があります。このケースでも、5年間の受診歴がなかった事実と、日常生活の状況が社会的治癒を裏付ける要素となりました。

再発と生活への深刻な影響――障害厚生年金の申請へ

50代に入ってから、家庭環境や仕事上のストレスが重なり、再び強い抑うつ症状が出現しました。以前と同じように気分の落ち込みや不眠、集中力の低下が続き、パート勤務を継続することができなくなりました。再度精神科を受診すると、医師からはうつ病の再発と診断され、長期的な治療が必要とされました。

障害年金の申請にあたっては、「初診日」が非常に重要です。原則として、最初にその病気で医療機関を受診した日が初診日となります。しかし、この女性の場合、30代での最初の発症と、50代での再発の間に「5年間の受診歴の空白期間」がありました。この点について、医師の診断書や本人の生活状況の聞き取りを丁寧にまとめることで、「社会的治癒が成立していた」と認められ、再発時の受診日を新たな初診日として扱うことができました。これにより、厚生年金に加入中であった時期の初診日が認められたのです。

結果として、障害厚生年金2級の認定を受けました。特に、再発後は就労が困難となり収入が減少していたため、この年金の受給は生活の安定に大きな役割を果たしています。

社会的治癒が持つ意味と申請サポートの重要性

この事例からわかるように、精神疾患の経過は必ずしも直線的ではありません。症状が落ち着き、長期間にわたって通院や投薬の必要がない状態が続けば「社会的治癒」とみなされる場合があります。そして、その後に再発した際には、新しい初診日を基準として障害年金を申請することが可能となります。これにより、より有利な制度の適用を受けられるケースがあるのです。

障害年金の申請においては、単に病気の診断名だけでなく、その経過や生活の実態が極めて重要です。精神疾患を抱えている方の中には、一時的に症状が落ち着いて通院をやめてしまった方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、それが必ずしも不利になるわけではなく、今回のように「社会的治癒」として評価され、適切な認定につながることもあります。

当事務所では、障害年金の専門家として、こうした複雑なケースにも対応し、依頼者の方にとって最善の結果が得られるようサポートしています。障害年金の申請を検討されている方や、過去の通院歴や空白期間が不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。

豊島区、練馬区、板橋区、中野区、杉並区、北区、新宿区、東京23区、埼玉県、神奈川県で社会保険労務士をお探しの皆さま、障害年金申請、審査請求、再審査請求のことなら、城田社会保険労務士事務所にご相談ください。

著者 特定社会保険労務士
城田 めぐみ
城田社会保険労務士事務所
東京都豊島区

当事務所は、障害年金の申請支援を専門に取り組んでいる社会保険労務士事務所です。様々な傷病による障害年金の手続きは複雑で、多くの方が途中で諦めてしまうこともあります。当事務所では、初回相談から診断書の準備、申請書類の作成、年金事務所とのやりとりまで、受給に向けて丁寧にサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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